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バーガーキングの「BIG割」から学ぶ「比較広告」と「バズ・マーケティング」

 

 

2015年11月6日、

ファストフードチェーンである「バーガーキング」が、競合の商品である某ハンバーガーに対抗して、なかなか面白いプロモーション活動を展開しました。

 

 

そのプロモーション内容というのは、

他社のビッグサイズバーガーのレシートや実物を、バーガーキングに持って行くことで、「ビッグキング」というバーガーの価格が割引されるというものです。

 

 

それも、意識している某他社のビッグサイズバーガーと同額になるように割引しています!

 

 

ですがここまでだったら、それはただの割引…すごいのはここからです。

 

 

何を思ったのかバーガーキングは、

店頭に持って来るものが「BIG(ビッグ・ビック)」と名の付く、またはそう言えるものなら、何でも割引が利くようにしたのです!

するとこれがきっかけで、SNSで予想外の大喜利大会が起こり、バーガーキングについての口コミとしてそれが拡散されたということです!(詳細は後述します)

 

 

今回はこのケースを題材に、「比較広告」と「バズ・マーケティング」について解説します。

 

 

 

 

1 名前は出さない!だけど露骨に「比較広告」!

 

もともとこのプロモーションは「他社商品との比較」のために行われたものです。

そこでバーガーキングは、今回のBIG割に合わせて、画像のような なかなか挑戦的な「比較広告」というものを作りました。

 

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もうどこの競合を意識しているか、分かりましたよね!

 

 

このように、同業他社と自社とを比較したり、暗に相手を揶揄する広告は、大手企業に意外と多く見られるんですよね。

 

例えば「ペプシ」が他社の炭酸飲料とのおいしさの違いをアピールするためアンケート調査を実施して、その結果をCMなどで大々的にアピールしたケースもありましたし、

とある携帯キャリアでは他社が行っている桃太郎の世界観を真似して「おばあさんが桃をスルー」するという、間接的にその他社を揶揄するようなCMを流したケースもありました。

 

 

このようにデータを出したり、自社にしかない特徴を強調したり、あるいは小ネタを仕込んだりして、自社の商品やブランドの優位性を消費者にアピールする広告が「比較広告」というものです。

 

 

ちなみにこうした「比較広告」はこっそり相手もやりかえしたりすることもあるので、今挙げた企業が一方的に喧嘩をふっかけている訳では無いので注意です!!

…はたから見たら、企業がイチャイチャしてるだけの様にも見えちゃいますけどね。

 

 

海外の事例はもっと攻撃的で分かりやすいですよ!!

例えばこの看板は、ネガキャン選挙戦に定評のあるアメリカにて、マクドナルドがスターバックスのコーヒーに対抗して立てた看板です。

「ウチのコーヒーは旨くてかつ“安いよ”」と言いたいのですね。

 

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ちなみにこれに対しスターバックスは抗議や仕返しの広告を打つことはなく、何食わぬ顔で自社独自のキャンペーンを推し進めていったそうです。

企業同士の喧嘩を見せたところで、消費者からの好感度は上がらないことは明白ですので、ある意味当然の対応といえますね。

 

 

今度は、アメリカのファストフードブランド「タコベル」が、マクドナルドに対し打ち出したCMです。日本のテレビ番組でも見たことあるかもしれませんね。同社が提供する朝食を絶賛するロナルド・マクドナルドさんがたくさん登場します。


Taco Bell: Ronald McDonald eats Taco Bell breakfast ...

 

こっちのCMはもっとえげつない…マクドナルドが独裁国家になってます…

(3分間の動画なので、読み進めたい方は飛ばしちゃって大丈夫ですよ!)


TACO BELL Breakfast war! Original video del anuncio ...

 

 

気になるのはこうした「比較広告」の良し悪し…いや、プロモーションとしての効果ですが、私としてはその内容が「消費者を引き付けるものか」「自社のブランドにどう影響するか」に依ると思っています。

 

 

タコベルのCMの様に、(個々の肌に合うかは別として)初めて見た時の衝撃やエンターテイメント性がある広告は、少なくとも消費者の視線を奪うことが可能です。

逆に一部の日本の比較広告の様に「考えてようやく分かる」レベルのものは、印象も薄く、ただ視聴者からの好感度を下げるだけで、むしろ実行する意味が無いのかも…

 

 

そしてそもそも企業がメディア上で大々的に喧嘩をするような状況を見て、全ての消費者が楽しむのかどうか、やはりこれはどの会社も熟慮していることだと思います。

スターバックスの例のように、安易に競合からの挑発に乗らない事で、ブランドイメージを維持したり、逆に良くしたりも出来ますからね。

 

 

いずれにしろ自社の立場やブランドイメージを考慮して、適切なプロモーションを展開していく、結局はこれが大切になってくるわけです。

 

 

2 「ボケる余地」のあるプロモーションは拡散されやすい!?

 

さて、ここまで国内外の「比較広告」を紹介しましたが、今回のバーガーキングのプロモーションが盛り上がったのは、必ずしも「他社に喧嘩を売ったから」では無いですよね。

私としては、これがただの比較広告で終わっていたら…同じような結果にはならなかったと思っています。

 

 

今回バーガーキングが起こしたファインプレーは「BIG(ビッグ・ビック)」と名の付く、またはそう言えるものなら何を見せても割引する!!」とルールを緩くした点にあると思っています。

 

こうすることで何が起こるかというと…SNSを舞台にした大喜利大会」が行われるのです!!

 

 

高い身長、BIGと書かれた紙やグッズ、登場人物に「ビッグ・ビック」と付くキャラがいる作品、さらには大きな夢を抱えて来店し、割引を受けた猛者達がこぞってSNSにその一部始終を書き込んだ事で、今回一気にバーガーキングについての口コミが起こりました。

こんな感じ↓

 

 

 

 

なるほど、つまり企業は消費者にある種の「ボケる余地」を与えたプロモーションをした方が成功しやすいのかもしれませんね!

 

ちなみに今回のように、一つの話題がネットやSNS上で爆発的に盛り上がるようにすること、またはその盛り上がり自体のことを、たくさんの虫がブンブン飛んでいる様子(buzz)になぞらえてバズ・マーケティングと呼んだりします。

よく「バズる・バズった」というのはこのことなんですね。(ただこの言葉、まだ定義がイマイチ確立されてないので、大体の意味だけ把握して頂ければと思います。)

 

 

「ボケる余地」のあるプロモーションを実施する

→消費者がSNS大喜利大会を起こす

→商品やサービスの口コミが広がる

→口コミを目にした人がさらにそれを試す。試さなくても認知はする。 

 

盛り上がった期間こそ約1週間と短かったですが、今回のバーガーキングのBIG割はこの一連の流れを上手く起こせた成功例であると言えそうです。

 

 

ということで今回のまとめです!!

 

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 はい、実は某他社さんのバーガーと食べ比べしてました(笑)

マーケターたるもの...広告の真偽は、その身と舌をもって確かめなければ...!!

 

 

ではでは!!ここまで読んで下さって本当にありがとうございました!!